竹の間 (アルコーブ )

社交室の左側のアルコーブ(くぼんだ場所)は、床を矢筈張りとし、社交室と異なる場所であることを印象付けています。また天井を300mm程低くし、寛げる空間としています。奥には作り付けのソファーがかつてありました。手前の椅子とテーブルもタウトの作品によるものです。

日向氏希望の“夏向きの社交室”に応え天井を桐、壁面に白竹を使い明るい色彩とし涼しさ演出しています。竹を隙間なく並べて壁とする「トクサバリ」で作られました。正面から釘は打たれず、竹は隙間もなく並べられ、まさに匠の技によるものです。

日向邸には、昭和の近代建築の巨匠・吉田鉄郎、名宮大工・佐々木嘉平、名竹工・黒田道太郎も協力しています。

白竹の壁面には、二カ所の隠し収納が作られています。電話やワインが入れられたようです。

開口部は、掃き出し窓で広々と室内と外部空間をつないでいます。二枚のガラス戸と簀戸(よしど)がはめられ完全引き分け戸で全面開放できます。

タウトは京都・桂離宮(右写真)を絶賛し、日本の竹の魅力も知り「竹の間」ができました。