社交室から「洋風居間」「和風居間」「ヴェランダ」まで見通す構成となっています。
南側の開口部は腰壁を壊し掃き出し窓を設けて屋外(海)への連続性確保しました。創建当時は、網戸と無双窓つきの雨戸が付き、手摺りもありました。現在は、ガラス戸と葦戸に代わっています。天井は柾目の桐が幾何学的に貼られています。左右は意図的に非対称的になっています。
タウトは「電灯は決して部屋の中央に取り付けてはならない」と指摘しています。社交室の照明20ワットの電球が二列に38個ずつ、アルコーブには海側に11個、山側に18個、合計105個も吊り下げられている独特のデザインになっています。
高さも変幻自在に波うつように高さが変えられ煤(すす)竹から黒竹の鎖で吊られています。社交室の壁は、レモンイエロー色の漆喰、腰壁は桐の正目合板で隅々まで丹念に仕上げられています。
この部屋は、ビリヤードやダンスのものから、置かれている椅子は積み重ねれ重要出来るスタッキングチェアをタウトは設計しました。二番目の部屋・洋風客間から社交室を見た写真です。レモンイエロー色の漆喰壁、腰壁と天井の桐材と涼しげな色彩改めて確認されます。
海側の天井から吊り下げられた小さな電球が波うつ照明は実に印象的だ。タウトが日本で著した『ニッポン』のなかで「日本で特に美しいのは夜間照明である。それは社寺崇拝と直接に関連していると私は思う。奈良の春日神社の二千の石灯籠と、一千の青銅製吊灯籠は素晴らしい光の祭典を現出せずにはおかない。・・・これらの電灯がしばしば二個あるいは三個組み合わされ、主として歩道を照らすように据えられており、人間的な味わいがある。」と述べています。
三つの部屋では、社交室は独特なペンダントで明るく、洋風客間は完全な天井間接照明、奥の和風客間の天井には本来照明は付いておらず、行灯の明かりだけで充分としています。日向邸では明から暗へと移り変わるように考案されています。
別の観点からみると、社交室のヨーロッパ風、洋風客間とは和と洋の生み出す新しい空間、奥の和風客間は最も日本的で構成されています。 |
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